アキ~プロローグ1~
私は逃げる途中だった。彼と一緒に二人で逃げる予定だったのに彼は来なかった。
変わりに黒尽くめの男たちがやって来て無理やり…
「商品に傷を付けられては困ります!!これでは1週間は客に出すのが遅れます!」
どこからか女性の怒鳴る声が聞こえる。
「…しか、……で。」
「もう結構です。貴方達も仕事でやったことでしたでしょうから、今後は気をつけてください。」
扉の向こうで誰かが怒られているようだ。
商品を傷付けた?何かの販売店かしら?
冷たいコンクリート張の床に毛布を敷かれ寝かされていた。
だんだん記憶が戻ってきた。あの後なんとか男から逃げようと暴れる私を、一人の大男が殴りつけたのだ。
腹部がヅキヅキするのはそのせいだろう。
扉が開くとパンツスーツ姿のスレンダーな女性が立っていた。
髪はきれいにアップ、整った顔立ち、切れ長な瞳。
女の私でもドキッとしてしまうほどの綺麗な女性でも雰囲気がすごく冷たい。
「目が覚めたのね、係りの者が乱暴してごめんなさいね」
謝ってはいるが、冷たい雰囲気はまったくかわりがない。
上体だけを起こして半分寝たままの私を女性は上からじろじろを見ていた。
「あの…ここは?」
category - 小説アキ
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