アキ~アキのエステ5~
アキはもうほとんど抗う力を失いぐったりっと体を投げ出している。水蒸気を噴出するとびっくりっと小さな反応をみせ、小さくう呻くがされるがまま浴びている。
サウナルームにいれて10分ほどたち、アキの体力が消耗しきってしまったようだ。
「こうなるとおもしろくないのよね…」
スズはため息まじりでパネルを操作しサウナルームの温度を下げた。
温度が下がりきるとサウナルームの扉を開き、アキの元へ歩み寄った。
汗だくで真っ赤な肌で、顔には消耗しきった色が見える。
スズの存在を認めると、怯えた目で見上げている。
(そうこの目がたまらない…でももっとよ…)
スズは満足そうに微笑えんでアキの乗っている車椅子を押してサウナルームを後にした。
「さてと、体はすっかり温まったでしょうから次は冷やさないとね?」
スズはそういうともうひとつの部屋にはいった。
そこはプールのような大きめの水が張ってあり、介護用のように車椅子ごと浸かれるようにスロープになっている。
アキは正直スズの言葉に期待した。冷やしてくれるのだっと…
体はヤケドしてようにひりひりするし、灼熱地獄から生還した気分だった。
少しでもはやく体の熱を冷やしてほしかったのだ。
スズは車椅子の操作を自動に切り替え、スイッチを入れた。
車椅子は自動的にプールのスロープをゆっくりゆっくり下っていった。
「ひゃ何?嫌、とめてとめぇひゃぁぁ冷たい、冷たいよぉ」
スロープを降りていってまず足が水につかりやっとアキは自分の状況を理解した。
それはさながら南極の海のようなプールだった。
よく見るとところどころに氷の固まりが浮いている。浸かっている足は痛いほどの冷たさを感じている。
しかし、車椅子は止まらずどんどんスロープを進んでいく。
熱かった場所から冷たいプールに浸けられる方がよりきつく感じる。
落差のある温度に体が悲鳴をあげ冷たさは痛みにすら感じる。
(さぁ私を楽しませて頂戴)
スズは嬉しそうにとまらない車椅子の上で何とか逃れようとじたばたするアキを眺めている。
「いやぁ冷たい、冷たいのぉあぁぁいたいぃ」
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